2019年12月12日から、twitter上において投稿(連載)されていた四コマ漫画「100日後に死ぬワニ」が、2020年3月20日をもって「100日目」に到達し、完結しました。
「100日後に死ぬワニ」
— きくちゆうき (@yuukikikuchi) December 16, 2019
1日目から4日目#ワニが死ぬ日 pic.twitter.com/0dcKrWxFCX
投稿者は、漫画家のきくちゆうきさんであり、当初宣言したとおり、「100日後まで描」ききった、ことになります(このブログでも、連載が始まってすぐに「『100日後に死ぬワニ』の滑稽さと不気味さについて」というタイトルで、当該四コマ漫画を紹介しました。)。
……と、ここまでならば、このブログで取り立てて付け加えたいことは何もなかったのですが、この四コマ漫画が完結した後に一連の出来事が発生したために、完結とは別の意味でtwitter上の話題が盛り上がりました。
その「出来事」とは何か? まず、完結して間もなく、きくちゆうきさんは、自身のTwitter上にYouTubeのリンクを貼りました。タイトルは、『「100日後に死ぬワニ」× いきものがかり「生きる」』であり、文字通り「100日後に死ぬワニ」の四コマ漫画と、いきものがかりの『生きる』というタイトルの楽曲とのコラボレーション動画となっています。
生きる。https://t.co/fvfunOYJqD pic.twitter.com/usgNEMuqXV
— きくちゆうき (@yuukikikuchi) March 20, 2020
このほか、「100日後に死ぬワニ」の公式アカウントが登場して、コラボグッズが販売されたり、四コマ漫画の書籍化が予定されたりしています。
その一方で、「100日後に死ぬワニ」が完結したことの余韻に浸る間もなく、次から次へと商業展開がなされたことについて、居心地の悪さを覚えた人が、Twitter上には少なからずいるようでした。
ワニ漫画は純粋に楽しめたけど商業展開が早すぎて最初から何もかも電通が仕組んでた事がバレてて草
— とらじ (@toraji0113) March 20, 2020
子供達の気持ちを弄んでるやり方が電通らしくて本当にゾッとする
グッズのエゲツない量、書籍化、いきものがかりの曲、連休中にショップ
ステマしまくって若者達のお小遣いを貪る商売は楽しいなあ
ワニ商業化の賛否両論が興味深い。きくちさんそもそもイラストレーターだから商業展開なんの違和感もないどころか感心してるけど映画化とかいきものがかりは予想外すぎて笑った
— 🍖 (@oniku50573666) March 20, 2020
ワニさん商業展開が迅速すぎ、かつ電通さん絡んだ案件になってたと知られて、余韻に浸ることすら出来ないの凄い…
— ごぼー (@5bows) March 20, 2020
ワニの件で金儲けするのは良いと思う
— うぇいさん (@WGS__WEIsan) March 21, 2020
作者さんにも生活があるんだから有名になるのは良い事だ
でも死んだ翌日からグッズの販促ガッツリやって電通案件なのを前面に押し出すのはなんだか気持ち悪いし余韻に浸るヒマもなくて萎える
誰かがツイートしてたけど
「我々は機械じゃない」#100日後に死ぬワニ pic.twitter.com/APiw86SKQJ
引用しておいてから付け足すのも奇妙な話(「初めから、引用するべきツイートをもっと厳選しろ」という意味で)ですが、本件については、「マーケティングの立役者が電通であったこと」が、Twitterにおける発信者の心象に大きく影響している様子が垣間見られます。
「電通の行ったマーケティング手法の可否」については、本論の扱うところではありません。しかし、あえて何かを言うとすれば、「商業展開したこと」自体は、否定されるべきものではないのではないでしょうか。「100日後に死ぬワニ」がコンテンツとして優れているのは、これだけTwitter上の話題をさらっている状況を踏まえれば明らかなことですし、「自分の作り上げたコンテンツをどうするのか」についての裁量は、ひとえに作者であるきくちゆうきさんに存するためです。そもそもきくちゆうきさんは、自らのTwitterで、「100日後に死ぬワニ」のLINEスタンプを販売しています(https://twitter.com/yuukikikuchi/status/1225011208597565441)。「LINEスタンプはオッケーだけれど、その他の商業展開はNG」というのは、論が立たないのではないでしょうか。
話が商業展開のところに行き過ぎてしまったので、軌道を元に戻しましょう。今回、この記事で特に注目したいことは、「『100日後に死ぬワニ』の生は、可能であったのか?」という点についてです。
(続く)