「魔法大国」を作中に持ち出すと、魔法使いが活躍する機会が失われてしまうということを、前回は確認しました。
「魔力は人間が所有している」ということを大前提として、今後は話を進めていきたいと思います。
次の問題に移りましょう。魔力を人間が有している場合、その超自然的なパワーを発揮するための技術(つまり魔術)は、いったい誰が発明したことになるのでしょうか。取っつきにくい質問ですが、考えられる答えとしては二つあります。
一つは「魔術は神などが発明し、人間に与えられた(天賦型)」という考え方。
もう一つは「魔術は人間による発明だ(人工型)」という考え方です。
個人的には、どちらを選択しても、魔術の運用に関しては大きな問題は生じえないと考えます。しかし、こと魔法の「設定」に注目すると、天賦型の方が使い勝手がよいでしょう。
魔術を「天賦型」とした方が、「人工型」とするより優れている理由には、
「神や悪魔、あるいは精霊などといった、超自然的な存在を作中に介入させやすい」
ということが挙げられます。魔術を「人工型」にしてしまうと、どうしても超自然的な存在を介在させるのに、他の理屈を詰めなくてはいけません。しかし魔術を「天賦型」にすれば、そうした問題は一気に解決します。
しかしながら、「天賦型」には、書き手が避けなければならない重大な危険を一つはらんでいます。