それでは、「杖」における“質”と“媒”について考察を進めてみましょう。
まずは“質”について。これも「壺」の場合と同じく、「文様を描いたときに利用した素材」とすることができるでしょう。
ですが、「杖(狭義)」における“質”はこれだけではありません。“彫刻する”という作業を通じて「杖」に文様を施すことができるからです。この場合、描かれた文様は“質”にとらわれることがないため、「杖」の効力を無効にするためには杖そのものを破壊する必要があります。
次に“媒”について。「杖」というのは形状からして非常に原始的であるため、あらゆる素材で杖を作ることができるはずです。したがって「杖」においては、さまざまな素材を“媒”として利用することが可能です。
何より強力なのは、金属を利用して杖を製作した場合です。鋳型に流し込んで作成する場合には量産が可能ですし、たとえば歪曲の難しいステンレスなどで杖を作れば安価で頑丈になります。どうしても大切な魔法ならば金で作られた杖に文様を彫れば、文様を解除するのは至難の業となるでしょう。