魔法使いが用いる超自然的な力(つまり、魔法のこと)を考える前に、注意しておくべきことがあります。それは「私たちは『魔術』、『魔法』、『魔道』などの言葉を用いているとき、どのような理由によって、そのような言葉を使い分けているのか」という点です。
このことは、一見するとささいな問題に思われるかもしれません。しかし、もし本当に「魔術」、「魔法」、「魔道」などの言葉の差が、単なるニュアンス程度の問題に過ぎないのであれば、そもそも言葉が別々になるはずはありません。
「魔術」、「魔法」そして「魔道」という言葉の使い分けについて、一定の差異があることを確認してみましょう。小説閲覧サイト”小説を読もう”の詳細検索を使って「魔術学校」、「魔法学校」及び「魔道学校」とキーワードを打った場合、それぞれ何件の小説(ジャンルなどは不問)がヒットするでしょうか。
筆者が2014年2月11日に試した結果、「魔術学校」で検索された小説は39作品、「魔法学校」で検索された小説は292作品、そして「魔道学校」で検索に引っ掛かる小説は6作品となっておりました。“学校”という単語に対する親和性は、「魔法」の方が「魔術」・「魔道」よりも高いようです。
この確認は大雑把なものですが、もし本当に「魔術」、「魔法」、「魔道」が単なる表記のブレで、明確な差がないのであるのならば、いずれの検索においても、ほぼ同数の作品がヒットしていても良いはずです。にもかかわらず、上記のような検索結果が出たということは、「『学校』という言葉には『魔法』がふさわしい」又は「『学校』と言う言葉には『魔術』又は『魔道』は相応しくない」という判断を、私たちはどこかで行っているということを暗示しているわけです。
それでは、こうした違いは、いったいどこから生まれるのでしょうか。次話では、このことについて考察してみたいと思います。